お花活け【里見郁子】
- Date: 2016年05月31日 19:05
- Category:スタッフ日記
新緑の季節も終わり、草木の葉っぱの色も濃くなってまいりました。
夏がそこまで来ています。
我古滝屋スタッフも例年通り アロハシャツで皆様をお迎えしております。
私は館内のお花活けを担当しています。
季節を感じていただけるように、
そして、たまには、珍しいお花を選んだり、
色の取り合わせを考えたり
工夫していないようで、あれこれ活ける度に頭をフル回転させています。
何より楽しいのは、
活けているときに、お客様に話しかけていただけること。
「きれいですね~」とか
「いつも楽しみに来てるのよ~」とか言われると
たとえ疲れていても
もう、やる気まんまん!力が湧いてきます。
お花好きの方って、けっこういらっしゃいます。
男性の方も。
ご自分のお花の活け方、
この花が好き、とか、どこそこの花がきれいに咲いてたとか
話が広がっていきます。
震災前のこと、
H様という常連のお客様がいらっしゃいました。
その方も、いつも話しかけてくださり、東京から相馬の御実家に
行かれれる度に旦那様とお泊まりいただいていました。
いつも802号室にお泊まりで、
お花とお茶の先生をされていました。
流派は違っていたのですが、お花のいろいろなことを
教えてくださいました。
ご自身が華展に出展した写真も頂きまして、それは今でも私の手元にありますが
教本のお手本のような見事な作品でした。
しばらくお見掛けしないなあと思っていたら、
震災の1年前くらいに、旦那様と娘さんがいらっしゃり、
H様がお亡くなりになったと伺いました。
私がお花を活けるとき、必ず、H様の声を思い出します。
エレベーターをふと降りてまた話しかけていただけるような錯覚に陥ります。
「今日もよく入っていましたよ」
「こんな風にする活け方もあるのですよ」
お空でも、きっと見ていていただけると思って、
頑張って活けてます。